




Fog, Concrete and a Red Bridge霧と、コンクリートと、赤い橋
ペイントに覆われた古いコンクリートの砲台、霧の中に消えていく赤い橋、ゆっくりと横切る貨物船。そして、橋の途中で待っていた一人の兄弟。
歩き始めたとき、霧はまだ晴れていなかった。濡れた低木の間を抜ける道を登ると、古いコンクリートの尾根に出る。海を見張るために造られ、そのまま百年近く忘れられてきたような場所だ。











どの壁にも、誰かの印があった。名前、顔、扉から笑いかけるキャラクター。何層にも重なったペイントの鮮やかな色が、灰色のコンクリートの上で、霧にやわらかく溶けていた。












言葉少なに砲台跡を歩く。空っぽの砲座、暗い通路、白い霧の中へと消えていく階段。






やがて雲が薄くなり、それが姿を現した。霧の中から踏み出してくる赤い橋。ケーブルは空の中へと消えていく。





眼下では、霧の中から貨物船がすべり出てくる。高く積まれたコンテナ、急ぐ様子もない。海の向こうでは、街が雲の上に浮かんでいた。













橋の途中で、一人の兄弟が待っていた。レザージャケットに温かい笑顔、そして誇らしげにたくわえた髭。並んで歩き、話し、互いの話を交換しながら、数メートルごとに立ち止まってはもう一枚。






別れる頃には霧がまた押し寄せ、橋の塔をひとつずつ飲み込んでいった。景色を見に行く場所もある。でもここは、橋の途中で交わした握手とともに覚えておく場所になった。






