




Last Train, Long Exposures終電と、長い露光
タイル張りのトンネル、果てしなく続くエスカレーター、雨の中に灯る時計塔、光の帯になって流れる赤いバス。シャッターを開けたまま歩いた、ある街の長い夜。
夜は地下から始まった。カーブしたタイルの壁、ホームの温かなざわめき、ヘッドライトを灯して滑り込んでくる電車。誰もがどこかへ向かっていて、誰も上を見上げない場所。











エスカレーターはどこまでも続いているように見えた。必要以上に何度も上り下りして、流れていく照明と、幽霊のようにぶれていく人々を眺めた。

駅と駅のあいだ。床に散らばった昨日の新聞と、もうずいぶん長い道のりを歩いてきたブーツ。



地上に出ると、雨がすべてを鏡に変えていた。川の上に大きな時計が光り、その針は足元を行き交う車よりもゆっくり動いているように見えた。











シャッターを開けたままにして、街に絵を描かせる。ヘッドライト、テールランプ、バス、自転車。すべてが金色と青緑の線になって、フレームいっぱいに走り書きされていく。



夜遅くても、開いている扉はいくつかある。白い蛍光灯の書店、雑誌の棚に没頭する男。ほかに行く場所もなく本をめくる人たちの、静かな時間。





最後には、通りが古い劇場のバルコニーのように弧を描き、バスが通るたびに赤い線を残していった。歩道の縁に立って、最後の一台が過ぎるまで数え続けた。




こういう夜には目的地がない。ただ歩き続け、カメラを低く構え、光がどこを通ってきたのかを教えてもらうだけ。会いに来た兄弟たちには、朝になれば会える。街がこんな顔を見せるのは、暗くなってからだけだ。

