


Six Strings at the Bus Stopバス停の、六本の弦
赤いキャップに白いヘッドホン、そしてアコースティックギター。バスがなかなか来ない午後、車の流れに向かって歌うひとりのブラザー。
照明と音響のあるステージもあれば、ベンチと時刻表と、途切れない車の流れだけのステージもある。膝の上にはギター、後ろ向きにかぶった赤いキャップ。急いで行く場所なんて、どこにもなかった。


うつむいたまま弾く。通りの音よりも、弦の音に耳を澄ませている。ときどき車が速度を落とし、窓が下がって、信号が変わるまでの数小節だけ誰かが首でリズムを取っていった。



歩道の向こうから見ると、待合所は小さな劇場のようだった。背景には紅葉した木々、足元にはリュック、照明は午後の太陽が担当している。


曲の合間には、旅のこと、まさにこのバス停で出会った人たちのこと、そして一曲の歌が見知らぬ人を少しだけ長く引き止めることについて話してくれた。


バスが来ても、彼は乗らなかった。また次が来るから。次の曲のためにチューニングを始めた彼を残して、その場を離れた。赤いキャップが、最後の陽をつかまえていた。


























