




Phone Booths and Painted Vans公衆電話と、絵の描かれたバン
まだ誰かの電話を待っている公衆電話、ガラス越しのガソリンの看板灯。そして、夢の中から走り出てきたようなペイントのバンが並ぶ砂漠の牧場。
暑くなる前に出発した。行き先は決めず、旧道を西へ。次のダイナーまで走れればいい。最初の数マイルは、長い道のしるしばかりだった。番をするように立つジョシュアツリー、ガラス越しのガソリンの看板灯、まだ誰かの電話を待っている公衆電話。




ビジターセンターのカウンターでは、女性が笑顔で迎えてくれた。朝からずっと、誰かがこの道のことを聞きに来るのを待っていたみたいに。













次の町は、通り過ぎる人のためにできているようだった。矢印の形の看板、ミントとピンクに塗られたダイナー、店の前に置かれたままの古いパトカー、巨大なマルガリータグラスの下で待つクラシックなセダン。





進むにつれて町はまばらになり、色が変わっていく。ティールの空、錆色の大地、何度も継ぎはぎされて、ほとんど記憶だけでできているような建物。






砂漠の射撃場では、イヤーマフをつけた男性が道具を確かめ、ゆっくりと紙の的に向かって数発を撃った。終わると笑顔で手を振り、道を教えてくれた。旗の向こう、砂漠をまるごと野外ギャラリーにしてしまった牧場があるという。







土の上に、ペイントされたバンが並んでいる。夢の中から走り出てきて、そのまま住みついたみたいに。太陽、花、目、オートバイ。どの面も描き込まれ、日に焼けて色褪せても、まだ声が大きい。






樽とユッカにもたれたオートバイ、日陰で客を待つサルーンのカウンター。古い燃料缶は、特に何もない場所をじっと見張っていた。



そのいちばん端に、屋根に十字架をのせた小さな白い礼拝堂。中には誰もいない。扉と砂漠と、茂みを抜ける風の音が聞こえるくらいの静けさだけがあった。


気温は上がり、山は近づき、前の道は登りはじめていた。旧道の一日。まだ、朝が終わったばかりだった。
旧道の一日・全4話
























