




Pann's, Since 19581958年から続く、Pann'sの朝
黄色いブーメランのような看板、空へ向かって傾く屋根、カウンターで頬張るチキン&ワッフル。1958年からロサンゼルスの朝を支えてきたグーギー様式のコーヒーショップ、Pann's Restaurantへ。
Pann's Restaurantが生まれたのは1958年。ある夫婦が、ロサンゼルス南西部のにぎやかな交差点にコーヒーショップを開いたのが始まりだった。建物とネオンサインを設計したのは、この街のグーギー様式のコーヒーショップを数多く手がけたArmét & Davis。鋭い角度とガラスと未来への楽観でできた、宇宙時代のスタイルだ。60年以上たった今も同じ家族が店を切り盛りし、看板はいまにも飛び立ちそうな姿でヤシの木の上にそびえている。



緑の道路標識、ステッカー、ヤシの幹。その先に、通りを走る車に「着いたよ」と知らせる黄色い看板。1990年代には二代目が店全体を開店当時の姿に修復した。だからここには、レトロを演じているものがひとつもない。ただ、1958年のまま止まらずに続いてきただけだ。


中に入ると、光があたたかくなる。赤い壁、カウンターの上で灯るネオンの筆記体、そして何十年ものあいだここで食べ、ここで働いてきた人たちの写真と新聞の切り抜き。



そして、みんなのお目当て。黄金色のワッフルにフライドチキン、溶けていくバター、脇にはシロップ。営業は朝と昼だけ。午後が終われば厨房は閉まり、鉄板もひと休みする。




カウンターには常連たち。新聞を読む人、話し込む人、ゆっくり食べながら店内を眺める人。こういうダイナーは時計のように動いていて、座っている人たちもその歯車のひとつだ。


カウンターの中には、Pann'sのロゴ入りの青いシャツに白いエプロン、カメラに向けた親指。サービスは早くてあたたかい。それなのに、誰も急いでいるようには見えない。









見上げると、天井にも物語がある。ざらりとした暗い天井から下がる模様入りのランプ。どれも、ゆっくり燃える炭火のようにオレンジに光っている。



ガラスの壁に沿って赤いブースがどこまでも続き、通りの光がテーブルに差し込む。午前中のうちに、ほとんどの席が埋まっていた。






外に出ると、細部が目に入る。コンクリートに刻まれた店の名前、花壇に咲く極楽鳥花、大きなクロームの数字で掲げられた番地。







歩道から見上げると、屋根は折り紙の紙飛行機のようで、その先端は空を指している。下には石積みの壁、まわりはガラス、そして角にはあの看板が見張りのように立っている。

看板には「Since 1958」。その年月を、この店はひとつ残らず積み重ねてきた。






道路沿いの掲示板は、今も昔ながらのやり方で注文を受けている。電話を一本入れておけば、着く頃にはできあがっている。


お腹いっぱいになって、カメラの中は黄色と赤でいっぱいになった。駐車場脇の芝生には、Pann'sのロゴ入りの赤い紙コップ。誰かのいい朝の、最後の名残り。街とともに姿を変えていく場所もある。でもここは60年以上、同じ場所で同じ朝を迎えてきた。それでもまだ、何かが始まる場所のような気がした。


















































