

A Black Hat in the Shade日陰の黒い帽子
日陰でビーズを編む黒い帽子の男。ゆっくりと訪れた笑顔。そして、星空の下の誰もいないガソリンスタンド。
木の歩道の日陰に、黒い帽子の男が手づくりのアクセサリーを並べたテーブルの横に座っていた。長い三つ編み、首にはビーズの連なり。たくさんの日々が過ぎていくのを見てきた人だけが持つ、静けさがあった。



はじめは、ほとんど話さなかった。通りを、ロバを、訪れる人たちを眺め、質問にはうなずきで答える。それでもカメラを向けると、何かがふっとやわらいだ。


笑顔はゆっくりと、そして一気にやってきた。顔全体が変わるような笑顔。もう何年も同じ角で仕事をしているのだと教えてくれた。町が来ては去っていくなかで、ずっとビーズを通しながら。

私たちが立ち去るころには、もう仕事に戻っていた。テーブルに顔を落とし、手はぶれずに。



午後の光が、古い真鍮のような色に変わっていく。骨董店の前の給油機、手描きの「冷たい飲みもの」、丘へと戻っていく道。



空が真っ黒になるまで走り、ペイントだらけの無人のガソリンスタンドの上に星が出た。旧道の一日。四つの物語、一本の道。そして、まだ出会っていないブラザーたちがたくさんいる。
旧道の一日・全4話

























