




Crosses on the Pass峠の十字架
尖った山の下に並ぶ古い給油機、路肩を歩くロバ。そして、見知らぬ人たちが何年も十字架を置いていく丘の上。
登りに入る前に、最後の寄り道。尖った岩山のふもとに石造りのガソリンスタンドがあって、日陰に古い給油機が並んでいる。次に入ってくる車が、1950年代のセダンでもおかしくないような顔をして。





そこから道はくねりはじめる。路肩をロバが歩き、エンジンの音など気にもしない。赤い岩と乾いた茂みが、折り重なるように谷へ落ちていく。








峠の頂上近くには、何年も前から人々が十字架を置いていく場所がある。木、鉄、鎖、積み上げた石。大切な人のため、動物のため、あるいは置いた本人にしかわからない理由のために。


旅人たちが最後の小道を登って見晴らしに立ち、あまり言葉を交わさずに景色を眺めていた。上から見ると、旧道は誰かが山の上に落とした一本の糸のようだ。








白いペンキで名前と年が書かれ、その下に短い愛の言葉が添えられた石もある。それを読むと、この丘はもう、ただの景色ではなくなる。


花、色褪せたリボン、岩のすき間にそっと置かれた小さな供え物。見知らぬ人たちが、ひとつずつ静かな気持ちを重ねてつくった場所。




しばらく黙ってそこにいて、それから、来たときよりゆっくり走り出した。峠の向こうでは、ロバだらけの町が待っていた。
旧道の一日・全4話
























