Coffee at the Bagdad Cafeバグダッド・カフェで、一杯のコーヒーを
モハーヴェ砂漠を走るルート66の朝。傾いたモーテルの看板、砂に佇む銀色のトレーラー、そして毎日店を開け続けるバグダッド・カフェの女主人。





砂漠の暑さが本格的に目を覚ます前に、バグダッド・カフェに着いた。ここは旧ルート66。1987年、この店の名を冠した映画で世界に知られるようになったモハーヴェ砂漠の一本道だ。電柱と、傾いたモーテルの看板と、見渡す限りの低木。




カフェの裏には、銀色のトレーラーが砂の上に並ぶ。何十年も前に停められて、そのまま居ついてしまったかのように。どの表面にも、誰かが置いていった物語が刻まれている。






店の中は、壁という壁が埋め尽くされている。写真、名刺、旗、そして同じものを探しにやってきた旅人たちのメモ。彼女は常連を迎えるように笑い、グラスを掲げてくれた。言葉はいらない。ブラザーフッドはいつも、ひとつのテーブルと、一杯の酒と、忘れられない顔から始まる。




ふたたび道へ。かつてこのハイウェイを支えた給油機が、陽ざしの中で錆びていく。サイドミラーの中で、カフェが小さくなっていった。似顔絵がひとつ。乾杯がひとつ。足跡が、またひとつ。
