




Wind Chimes and Brothers風鈴と、ブラザー
風鈴の回廊の下に白く長い髭、神社の授与所に花柄のシャツ、歩きながら頬張るお団子。ベルギーから、Mi TroとAnkieがはるばるやって来た。7月の暑い午後、日本を一緒に分け合った。
BBrthrは、ひとつのシンプルな思いから始まった。地球の反対側にいる見知らぬ髭の男を描いて、その人に会いに行く。たいていは、国境を越えるのは僕らのほうだ。けれど今回は、道が逆向きに走ってきた。
Mi Tro(@mitro_bv)とAnkieが、ベルギーから飛んできた。胸まで届く髭、手首まで続くタトゥー、そして日よけ帽をかぶり、隣の通りまで聞こえそうな声で笑う奥さん。僕らは一枚の肖像画を通して出会った。そしていま、日本の7月の暑さのなかで再会し、彼は最初に、同じ町内で育ったかのように僕らを抱きしめた。

白いBBrthrのTシャツで鳥居をくぐり、スマートフォンの地図を確かめる。まるで自分が案内役のように。ある意味、そうだった。ブラザーの目を通して自分の国を見ると、すべてがまた新しくなる。

Ankieはまっすぐ授与所へ。指さし、たずね、巫女さんに笑いかけると、巫女さんも笑い返す。共通の言葉はない。それで問題ない。指さしとひとつの笑い声は、僕らの旅で、どんな会話帳よりも多くの扉を開けてきた。


背中に「THE BEARD BROTHERHOOD」、頭上には朱色の鳥居。はじめから同じ一枚に収まるために生まれてきたようなものが、世の中にはある。
風鈴の下で





そして、風鈴の回廊。何百もの風鈴が列をなして吊るされ、それぞれの短冊に願いが書かれ、風が動くたびにいっせいに鳴る。Mi Troは真ん中で立ち止まり、見上げて、長いあいだ何も言わなかった。Ankieが彼の腕をとった。会話は、それですべてだった。



青空に回る紙の風車、軒下の古い灯籠、木の柱に添えられた手。夏の日本は、小さくて丁寧な美しさの国だ。彼は、そのひとつひとつに気づいていた。


手水舎では、作法どおりに手を清めた。タトゥーの腕と竹の柄杓が、同じ一枚に。どちらも、信じるものを身に刻むふたつの伝統が、冷たい水の上でほんの一瞬すれ違う。


お札所では、髭が小さな人だかりをつくった。ここの人たちは礼儀正しく、じろじろ見たりはしない。ただ、いつもより少し長く微笑む。彼は、そのたびに微笑み返した。


そしてお団子。串に刺さった甘い団子、たれが光って、まだあたたかい。Ankieがトレーを持ち、Mi Troは、まさにこれを求めて来たという顔で一串を平らげていく。BBrthrは一杯のビールを分かち合うことだと、僕らはずっと言ってきた。日本の7月の午後なら、お団子一串でも同じ役目を果たしてくれる。



奥へ進むと、庭。小道に漂う涼しいミスト、黒い筆文字の大きな提灯、しめ縄から下がる白い紙垂。ふたりは並んで、ゆっくり歩いた。この場所が終わってほしくないとき、人はそう歩く。


通りに戻ると、古い店先と手描きの看板が並ぶ細い路地。リュックを背負って前を歩く彼は、ベルギーから遠く離れているのに、どういうわけかすっかりくつろいで見えた。


また会う日まで




一日の終わり、彼が石段を下りていくのを見送った。手すりに片手を添え、古い木の塀を背に白いTシャツが小さくなっていく。一度だけ振り返って、片手を上げた。ブラザーは、本当の意味でさよならを言わない。言うのは、こうだ。次はお前の国で、お前のビールで。
BBrthrがあるのは、このためだ。見知らぬ誰かのために描いた一枚の肖像画が、地球の反対側の友だちになり、ある日その友だちが飛行機に乗ってやって来る。ありがとう、Mi Tro。ありがとう、Ankie。次は、ベルギーで。

















































































